最小限の負担で成績を確実に上げる勉強法 パーフェクトガイド

総合型選抜や学校推薦型選抜では、テストによる選抜がなくとも、「評定平均」という形で学校の成績が問われるケースが大半です。

しかし、探究型入試など、高校までの活動実績で勝負したい入試形態の場合、実績づくりの時間はいくらあっても足りず、テストの点を上げるための勉強に、あまり多くの時間を割くのは、得策とは言えません

成績が悪いと、保護者も本人も「勉強が苦手」と思い込んでいるケースは多いですが、実はテストの点は、才能や資質の有無ではなく必要な演習ができているかどうかで決まります

最小限の負担で成績を上げるには「解けなかった問題を明らかにして解消し、適切なタイミングで2〜3回復習する」という勉強法が最適です。

記憶のメカニズムから、テストで点が取れない理由と、具体的になにをすれば成績が上がるのかについて、詳しく解説します。

目次

記憶のメカニズムを知れば、テストで点が取れない理由&何をすべきかがわかる

「授業では理解でき、テストになると点が取れない」が一般的

中学校や高等学校になると、勉強の内容が濃くなるため、暗記に頼った一夜漬け等の勉強の仕方では、テストで良い点数が取れなくなります。

しかし成績が低迷する生徒でも、多くの場合、授業の段階では内容を理解できています。

教師も、生徒が理解できるよう、わかりやすい授業を心がけており、基礎事項にもしっかり時間を割きます(一部の進学校を除く)。

それでもテストになると、100点満点で30点や40点、あるいはそれ以下の点を取ってしまうのです。

これは理由がはっきりしていて、

「説明されて理解できる」

と、

「テストで自力で解ける」

の間には、大きな開きがあり、まったく別物だからです。

テストで自力で解けるようになるためには、知識を定着させる必要があります

説明されて理解できても、時間が経てば細かく覚えていることはできなくなります。

そこで必要なのが、実際に問題を解く=演習を重ねることです。

なにもしなければ「授業では理解でき、テストになると点が取れない」となるのが普通です。

隊長

そもそも授業からまったく理解できない、という場合もあります。これは以前の単元を理解している前提で進められる教科(英語・数学など)で顕著です。

こうなると復習から始めなければいけませんが、やはり必要になるのは、同じく「演習」です。

「わかりやすく教わる必要がある」と考えがちですが、それだけであればすぐに忘れてしまい、状況は変わりません。詳しくは後述します。

脳の仕組み・性質はみな同じ=必要なことを着実に行えばテストの点数は上がり、やらなければ低迷

学習塾は、(よほどやる気がなかったり、思春期で反発したりしている場合を除き)8割・9割の子の成績をアップさせることができます。

成績アップ保証を掲げる塾も少なくありません。

「こうすれば成績が上がる」とわかっており、再現性が高いからこそ、教育サービス・商売として成り立ちます。

塾ごとに方法論は様々なように見えますが、突き詰めていくと根底にあるものは同じです。

この再現性の高さのヒントは、人の脳の、記憶のメカニズムにあります。

基本的に脳の仕組み・性質はみな同じですから、必要なことを着実に行えばテストの点数は上がりますし、やらないのであれば低迷する、という当たり前の結果になるわけです。

探究型入試など、高校までの実績を活かした総合型選抜や学校推薦型選抜を前提とするなら、最上位の学力は不要な場合が多く、

  • 学習成績概評B(評定平均3.5〜4.2)
  • 学習成績概評A(評定平均4.3以上)

あたりが現実的な目標になるはずです。

評定平均4.0前後であれば、成績低迷から脱してテストで80点を取るくらいで十分で、記憶のメカニズムさえしっかり理解できれば、さほど大きな負担なく達成可能です。

高校選びには注意

難関大学を目指すタイプの進学校に入学した場合は、大きな負担なく成績を上げることは困難です。

なぜなら、難関大学のテスト入試に見合った実力が身につくよう、定期テストの難易度が高くなっており、同じ評定平均4.0を取るために必要な勉強の量が、まったく変わってくるからです。

そのため、探究型入試など、高校までの実績を活かした総合型選抜や学校推薦型選抜を目指すなら、高校選びは非常に重要です。

現代では「なるべく偏差値の高い高校に」は非効率な場合が多くなります。実績づくりをしやすい環境であることは当然として、勉強がどれくらいの負担になるのかも、よく検討しておきましょう。

「わかっていても、できない」から学習塾は必要とされる

必要なことを着実にやればいいだけなのに、それでも学習塾が必要とされるのは、「やるべきことがわからない」か、「わかっていたとしても、実行できない」からです。

単に勉強を教わるだけでなく、

  • 学習計画を立ててくれる
  • 今やるべきことを提示して進捗管理してくれる

等の機能が、学習塾の大きな価値の一つになっています。

脳の仕組み・記憶システムを理解すれば「やるべきこと」が腹落ちする

思い出せない脳(講談社現代新書 2704)|澤田 誠 著《名古屋大学 名誉教授

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まずは、脳の仕組み・記憶のメカニズムの概要を知るための良書『思い出せない脳(澤田 誠 著)』を紹介します。

「ド忘れしてしまうのはなぜか」

「一度出てこなくなると思い出そうとしても出てこないのはなぜか」

など、日常でしばしばある記憶に関する不思議を、ユーモアあふれる語り口で、わかりやすく解説してくれる本です。

学習の方法論を知りたいだけであれば、後述する『受験脳の作り方』だけを読めばいいですが、『思い出せない脳(澤田 誠 著)』を読んでおいたほうが、しっかり腹落ちします。

前提:記憶は「短期記憶」と「長期記憶」に分かれる

『思い出せない脳』を読んでいただいて、まず理解したいのは、記憶には、大きく2種類あるという事実です。

◇短期記憶

目の前のヒナタさんと会話しているとします。

短期記憶は、「さっきからヒナタがリオの悪口を言っている」など、リアルタイムの記憶です。

短期記憶がなく、言われたことを次から次と忘れてしまうとしたら、

「いまヒナタはリオの悪口を言っているけれど、さっきはリオのことが気になるような口ぶりだった。照れ隠しかもしれないから、ちょっとからかっちゃおうかな」

というように、話の流れを踏まえて会話する、などができません。

短期記憶は、覚えられる量、一度に扱える量はそれほど多くなく、また短い時間で忘れてしまうのが特徴です。

たとえば数時間後には、ヒナタがだいたいこんな話をしていた、という記憶はあっても、喋った言葉を一言一句、完璧に再現してみせることはできないはずです。

◇長期記憶

「1週間前にヒナタがリオの悪口を言っていた」というのが、長期記憶です。

短期記憶よりも覚えておける量は多いので、長期記憶のほうが優れているようですが、致命的な問題が一つあります。

何でも長期記憶にできるかと言ったらそうではない、ということです。

「1週間前にヒナタがリオの悪口を言っていた」というエピソードは長期記憶になりますが、例えばそのとき自分がランチに何を食べていたのかは、もしかしたら思い出せないかもしれません。

長期記憶が作られていないか、作られていたとしても、脳が不要な情報だと判断し、急速に劣化しているわけです。

脳の記憶システムはスマートフォンをイメージするとわかりやすい

短期記憶と長期記憶について理解するときに、手元のスマートフォンをイメージすると、理解がより進むはずです。

スマートフォンそのものの容量は、2025年現在だと32GB〜128GBあたりが主流でしょうか。

256GB以上の方もいるかもしれませんが、いずれにしても、身の回りのすべてのデータを保存しておくには心もとない水準です。

様々なアプリは、たとえばInstagramやXで2〜3GB、ゲームアプリだと数十GBあることも珍しくありません。

動画なら映画1本ダウンロードすれば1GB前後、もっとサイズの小さい写真でも数万枚あるという人もいるでしょう。

ポイントは、すべてのデータをいつも使うわけではない、という事実です。それどころか、中には二度と使わないデータも含まれているかもしれません。

このまま使い続ければ、断捨離が苦手な人の家のように、すぐに物であふれていっぱいになってしまいます。

しかしスマートフォンは、その名のとおり賢い(Smart)ので、ふだんは使わないアプリや写真・動画のデータを、スマートフォンから自動削除します。

そのかわり、クラウド上に保管しておき、必要なときにいつでもダウンロードして使えるよう準備しておきます。

こうしたシステムのおかげで、私たちはスマートフォンの容量不足に悩むケースが減りました。

これがまさに、短期記憶と長期記憶の関係です。

人の脳も、目で見たもの、耳で聞いたもの、肌で触れた感触など、すべてを記憶として残してしまえば、あまりの情報量にすぐにパンクしてしまいます。

そこで、目の前のリアルタイムの出来事は、短期記憶として認識し、すぐには使わないけれど必要なものは長期記憶としてしまっておきます。

そしてランチに何を食べようか考えるときに、ここのところラーメンばかりだから、今日は栄養バランスを考えて和定食でも食べようか、と長期記憶を引き出して判断しているわけです。

隊長

ただし、スマートフォンと人の脳では、決定的な違いがあります。

人の記憶は劣化します。

なぜなら、人が受け取る情報の量は、スマートフォンのアプリの比ではなく、非常に膨大であるためです。すべてを保存しておくことはとてもできないわけです。

限りある保存容量なので、一度は長期記憶として保管した記憶も、比較検討の中で重要性が低いと認識されれば、記憶のデータそのものが減るのはもちろん、データを引き出すのにも手間や時間がかかるようになります。

誰しも1ヶ月以上も昔の記憶となると曖昧で、写真を見返すなどきっかけがあって始めて、ある程度はっきりと想起できます。

いずれは完全に消えてしまうか、引き出せなくなるのは、私たちが日々認識しておるとおりです。

長期記憶を定着させるには「興味を持つ」「興奮する」「達成感」等が効果が大きい

テストの点や学習、勉強で問題になるのは、言うまでもなく長期記憶です。

「昨日、学校の授業で、二次方程式の解の公式の勉強をした」というエピソードは、数週間は忘れずに覚えていられるはずです。

しかし、解の公式そのものは、早ければ数時間で忘れてしまいます。

英文法の型や英単語もそうですし、理科や社会の知識も同様です。

これら意味記憶は、人間の本能である “生存” にはほぼ関係しないため、短期記憶から長期記憶へ移行しにくいという大問題があるようです。

この重要な情報かどうかの検閲を、脳の海馬が行っていますが、海馬を説得するために有効な手段が2つあり、その1つが「情動」です。

つまり、興奮したり感動したり、思い切り笑ったり、逆に悲しかったり、怖かったりしたときには、長期記憶が作られやすいそうです。

隊長


教室の机でインプットするよりも、石垣島で7日間過ごしながら自分たちで試行錯誤したり世界自然遺産・知床で野生のキタキツネを見つけて感動したりしたほうが知識や記憶が定着し、成長につながるのは、まさにこのためですね。

私が手掛ける「フリーダム・アイランド」はもちろん、世の探究学習系事業者が、驚きや興奮、感動を重視するのは、脳科学の知見からも極めて合理的で、当然というわけです。

真逆のパターンで、トラウマ=PTSD(心的外傷後ストレス障害)や、フラッシュバックなども、ネガティブな情動がきっかけで、長期記憶が過剰な形で定着してしまったがために起こるようです。

「興味を持つ力」が育っている子が強い

長期記憶を定着させるためには情動が有効――これをテストの点や、学習の方法論の観点で考えてみましょう。

情動のない無風状態では、勉強ははかどらず、記憶は定着しにくくなります。たとえば、

  • 授業が退屈でつまらない
  • 宿題をやらないと怒られるからやる
  • なんでこんな勉強をしなきゃいけないのかわからない

このような気持ちを抱く環境では、脳はインプットされた情報を必要な情報だとはみなしてはくれないでしょう。

車で言えば、ブレーキを踏みながらスピードを出そうとするようなもの。

やる気とか根性とか言う話ではなく、脳の性質に逆行しているわけで、少なくとも効率は最悪です。

逆説的に、学習に必要なのは、

  • 先生の話がおもしろく、夢中になって聞いてしまった
  • 解けなかった問題が解けるようになってすごく嬉しかった
  • 授業中に発言しなければいけなくて緊張したけれど、結果的に褒められて気分が高揚した

などの要素である事実がわかります。

この観点では、家庭でできることはあまり多くはありませんが、1つ断言できるのは、

「興味を持つ力が備わっている子が強い」

という事実です。

どのような環境で学ぶかは、選択に限界があるケースもあります。

しかし、おもしろがる力、興味を向ける力が育っていれば、どのような環境でも、相対的に多くを得られます。

また、自分で良い環境を選び取る力にもなるはずです。

最小限の負担で成績が上がる3つの原則

受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法(新潮文庫)|池谷 裕二 著《東京大学大学院薬学系研究科 教授》

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こうした人の脳の記憶のメカニズムを前提に、“合理的な学習方法とはどのようなものか” にフォーカスして、端的に解説している良書が、『受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法』です。

本のタイトルを見ると、教育熱心な親のための受験テクニック本かと誤認してしまいますが、実際には脳科学者の立場から、合理的な学習方法を検証しているものです。

むしろ勉強を苦手とする子の親や、勉強に苦労している中高生・大学生本人が読んだほうが得るものが多く、おすすめです。

『受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法』から導き出される、効率の良い学習方法は、次の3点に集約されます。

  1. 復習が不可欠
  2. 問題集や参考書は1冊に絞る
  3. 演習(実際に問題を解く)を重視する

1. 復習が不可欠:脳は想像以上に記憶を失うのが早い

これはドイツの心理学者エビングハウスが、百年以上も前に行った有名な実験です。
(中略)
忘れるスピードは一定ではないのです。覚えた直後がもっとも忘れやすいことがわかります。はじめの四時間で、一気に半分くらいを忘れてしまいす。けれどもその後は、残った記憶がわりと長持ちし、少しずつ減っていきます。

「エビングハウスの忘却曲線」で有名な、エビングハウスの実験が紹介されています。

はじめの4時間で半分くらいを忘れてしまうという事実は、忘れっぽい人間だと自覚がある人でも、かなり驚くのではないでしょうか。

“授業で一度聞いて理解した” とか、“参考書を読んで覚えた” というのは、想像以上に当てにならないものであるわけです。

しかし、エビングハウスの実験結果からも、覚え直すときには時間がかからなくなることが証明されています。

もちろん定着率も高くなっていきます。

1回目は4時間で半分を忘れてしまったとしても、2回目、3回目と繰り返すうちに、少ない労力で覚え直しができ、7割・8割を覚えていられるようになります。

こうしてテストで得点できる実力に変わっていくわけです。

以上の事実から、勉強には復習が絶対に必要であるとわかります。

もし難関大学にテスト入試(一般選抜)で入りたい、という場合は、膨大な時間を費やして繰り返し復習し、完成度を高める必要があります。

しかし、定期テストで80点を取りたい、というレベルであれば、テスト範囲も限られており、出題される内容も事前に提示されるわけで、それほど負担は多くありません。

なにより、これだけをやればいいんだ、とはっきりすれば、効率よく勉強ができ、時間を無駄にせずに済みます。

2. 問題集や参考書は1冊に絞る(学校指定の問題集で十分な場合が多い)

復習の効果は同じ内容のものに対して生じます。たとえば、さきほどの単語の暗記テストで、もし二回目に異なる十個の単語を暗記したとしても、記憶力はアップしません。覚える内容が変わると、効果が出ないのです。それどころか、記憶の干渉が起こって、成績が低下してしまう恐れがあります。
(中略)
同じ科目でも、参考書が替われば、また一からその参考書を理解し直さなければなりません。復習効果はあくまでも同じ対象に現れるのです。これはとても重要なことですから、肝に銘じてください。

これは進学系中高一貫校の教師からの伝聞ですが、日々長い時間をかけて勉強をしているのに、思ったように成績が上がらない生徒に、

「問題集を1冊に絞ってやってみなさい」

とアドバイスすると、成績がはっきり上向くケースが多々あるようです。

脳科学の観点では、「復習の効果は同じものに対して現れる」と説明されています。

1冊の問題集をやり終えたら、また別の問題集に取り掛かるといったやり方では、勉強の効果がうまく出ません

難関大学のテスト入試対策でも、基礎固めの段階では、一つの問題集の完成度を高めるやり方が主流です(終盤は過去問を10年分解く、など学校ごとの対策をしますので、状況は変わります)。

中学や高校の定期テスト対策であれば、なおさら学校指定の問題集をしっかりやり込むのが最善です。

勉強は、時間をかければいいというものではなく、何に時間をかけるかが重要だと理解しておきましょう。

3. 演習(実際に問題を解く)を重視する:脳はアウトプットを重視して記憶する

脳には毎日ありとあらゆる情報が入ってきますが、そのすべてを覚えておくことはできません。記憶すべき情報を取捨選択しなくてはなりません。では、一体なにを基準に、脳は記憶すべきものと不要なものを判断しているのでしょうか。
これまで何度も力説してきたように「復習の回数」が基準になっています。しかし、これを「何度も脳に情報を送り込むのが得策だ」と解釈しては間違いです。
(中略)
大切なのは「出力」です。海馬の立場から言えば、「この情報はこれほど使用する機会が多いのか。ならば覚えなければ」と判断するというわけです。

復習が絶対に必要であるという事実は、繰り返し説明してきた通りですが、では具体的にどのような勉強をすればいいのでしょうか。

実はこれも、記憶のメカニズムから考えれば明白です。

記憶の仕分けをしている海馬は、使う記憶ほど大切なものだと認識し、優先的に長期記憶として蓄えようとするそうです。

実際、学習塾でも、ただ覚えなさいという勉強を中心には据えません。

もちろん英単語など、どうしても暗記しなければならない要素もありますが、テストの点数を実際に上げているのは、演習です。

問題を繰り返し解き、解けなかった問題にフォーカスして対策していくからこそ、成績が上がるのです。

隊長

もう一度整理してみると、ほとんど効果がない勉強法は、教科書や参考書を読む、テスト前に内容をまとめたノートを作る、暗記して覚えようとする、などです。
逆に、効果の高い勉強法は、実際に問題を解いてみる、暗記項目をクイズ形式で出題してもらい解答する、暗記した用語の意味を誰かに説明する、など。
たとえば社会で「日米修好通商条約(1858年締結)」を覚えなければいけないときに、単に暗記するよりも、「それってどういう条約?」「どういう流れで1958年に締結になったの?」など、記憶を使うシチュエーションを作ることで、より定着しやすくなります。
実際、我が家でも、理科や社会など暗記事項の多い科目では、テスト前になるとクイズ大会を開催していますが、一定の効果があるようです。

保存版|最小限の負担で成績を上げる!具体的な勉強の手順まとめ

成績が上がらないと嘆く前に、宿題・提出物を確認

成績の付け方は、定期テストの点数が7〜8割を占める学校が多いですが、残りの2〜3割を軽視してもいいわけではありません。

高等学校では、2022年度(令和4年度)から観点別評価が導入され、定期テストの点だけではない様々な指標で評価をすることに定められました。

たとえば、小テスト、振り返りシート、授業態度、そして宿題や課題等です。

この中で、改善が容易なのは、間違いなく宿題・課題の提出でしょう。

小学校まではともかく、中学校・高等学校となれば、宿題には単なる成績だけでない、明確な意義がありますので、まず宿題をしっかりやって提出するところから始められるのがベストです。

つまり、勉強では演習(実際に問題を解く)が効果的であるわけですが、宿題は定期テストで出る内容の演習ができる貴重な機会であるわけです。

とはいえ、ただ「やりなさい」と子どもに言ったところで、中高生ともなれば反発するケースも少なくないでしょう。

だからこそ、この記事で説明してきたように、最小限の負担で成績を上げるために何が必要か、そしてなぜ宿題をやったほうがいいのかを、子どもにもしっかり腹落ちさせてあげることが大事です。

自分で自分の将来を考えられるようになり、本人が納得して必要だと思えば、自然に取り組むようになります。

親の役目は、勉強を強制することではなく、子ども本人が自分で自分の道を選択できるように、必要な情報を提供することだと考えるほうが良いでしょう。

宿題・課題に取り組む意義 まとめ

  1. 観点別評価の導入にともない、成績に直結する(※)
  2. テストに出る内容の演習が自動的にでき、とても効率の良い勉強になる

※実際、テストで100点を取ったとしても、宿題をまったく出さなければ、評価5は取れません。

逆に、テストで本来なら評価1がつくような悪い点を取ったとしても、授業態度がよく、提出物にしっかり取り組んで提出していれば、評価2や3が取れる可能性があるということです。

注意点

言うまでもなく「解答を丸写しして提出」などは、効果的な勉強である「演習」にならず、意味がありません。

しかも、間違えた箇所の直し等がなければ、教師にもわかりますから、提出物の評価としてもかなり低くなります。

やはり宿題の意義をきちんと説明して、わかってもらえるのが望ましいということになります。

1. 解けない・わからない問題をピックアップすることから始まる

最小限の負担で成績を上げるには、具体的にどのような手順で勉強していけばいいのか、詳しく紹介します。

3つの原則(復習が不可欠、問題集や参考書は1冊に絞る、演習を重視する)に従い、まずは各科目で取り組む問題集等を決めます。

英語や数学は、学校配布の問題集がベストである場合が多いですが、理科(化学、物理、生物、地学)や社会(日本史、世界史、地理)等は、市販の問題集を購入したほうが演習がしやすいケースもあります。

定期テスト対策を考えるのなら、教科書の出版社に対応した問題集を探すのが基本です。

いずれにしても、1科目1冊に絞って「これに取り組む」と決めましょう。

紹介してきた通り、脳は使う記憶ほど重要なものだと認識しますので、復習が大切なのでした。

授業と平行して取り組む場合は、授業で習った内容の復習として問題集に取り組みましょう。

定期テスト対策として取り組む場合は、テスト2〜3週間前から、テスト範囲を一気に解いていきます。

重要なのは、どちらの場合も、まずは範囲を一通り解いて、解けなかった・間違えてしまった問題をわかるように、しるしを付けておくことです。

なぜなら、テストに向けて勉強をする意義は、解けなかった・間違えてしまった問題を解けるようになることにあるからです。

難なく解ける問題を何度も解くのは時間の無駄ですし、子どもの負担にもなります。

解けない問題対策をするためには、どの問題が解けないのか、まず明らかにする必要があるわけです。

この1回目の演習は、定期テストが迫っている場合は、なるべく早く終えられるようにしましょう。

2. 解けなかった・間違えてしまった問題を、その場ですぐに理解して解消する

解けなかった・間違えてしまった問題は、可能であれば、その場ですぐに理解できるようにします。

  • 解答の解説を読む
  • YouTubeの解説動画を探す
  • 教師や塾講師に聞く

など

遅くとも、その日のうちには、不明点を解消できるようにしたいところです。

放置しては絶対にNGです。結局忘れてしまって、理解しないままテストを受けることになる可能性がとても高いためです。

(この点、個別指導塾や家庭教師を利用していれば、解消は容易ですので、大きなメリットと言えます)

3. 翌日にすぐに復習する

理想的な復習のタイミングは、『受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法』では次のように紹介されています。

海馬の性質を考え、次のような復習のプランを提案したいと思います。

学習した翌日に、一回目
その1週間後に、二回目
二回目の復習から2週間後に、三回目
三回目の復習から1カ月後に、四回目

まずは翌日です。

紹介したとおり、記憶は4時間で半分程度が失われてしまうわけですので、すぐに復習をする価値があります。

2回目は覚える時間が短くなり、定着率も高くなる、という事実を思い出してください。

なお、理想的にはすべての問題を復習したほうが定着効果は高いですが、現実的には、テスト前は時間が限られています。

2回目の演習は、しるしを付けておいた、解けなかった・間違えてしまった問題だけでいいでしょう。

正答した問題をもう1回解くよりも、他教科の対策に時間を使ったほうが明らかに有意義です。

4. 1週間後に3回目の復習をする

テスト直前に3回目の復習ができれば、定期テストでもかなりの割合で解答でき、平均点越え〜80点前後が視野に入るはずです。

このときは、余裕があれば、解けなかった・間違えてしまった問題だけでなく、すべての問題を解くのが理想ではあります。

最初の演習から時間が経っているので、記憶の劣化により、解けた問題も解けなくなっている可能性があるからです。

一般選抜(テスト入試)での大学受験が目標の場合は、この更に1ヶ月後に四回目の復習を行えれば、基礎固めが完璧に近づきます。

図にすると次のようになります。

5. 演習1・2回目は日常的に授業後すぐにやっておいたほうが、負担が少ない

紹介してきた勉強の手順を図にすると、次のようになります。

こうしてスケジュールを立ててみると明白ですが、テスト前にまとめて勉強しようとするよりも、日常的に、授業で習ったらすぐに演習1〜2回目をやっておくスタイルのほうが、負担が軽い事実がわかります。

特に英語・数学は、テストでしっかり点が取れるレベルまで定着させるまでに時間がかかります。

英語・数学がなかなか完成しないと、他教科を勉強する時間を圧迫してしまい、他教科の点数も下がってしまいます。

大学入試で使われる評定平均は、高校1年生からの全教科が対象になりますので、非常に重要な観点です。

計画どおりに勉強を進められない場合は個別指導塾等で解決可能

「学習計画を立てる/計画どおりに進める」が最も困難

最小限の負担で成績を上げる方法は、ひとことで言ってしまえば、

解けなかった問題を明らかにして解消し、適切なタイミングで2〜3回復習する

という、極めてシンプルなものです。

これをやるか、やらないかだけで、成績がまったく変わります。

学習塾や予備校でも、やっていることは根本的に同じです。

しかしながら、「なるほど簡単だ、明日からすぐにできるね」とはならないご家庭が大半ではないかと思います。

わかっていてもできないからこそ、困ってしまうわけです。

わかっていてもできない3つの理由

  1. 学習計画が立てられない
  2. 計画どおりに進められない
  3. 思春期で反発してしまう

大前提として、いつ何を勉強すればいいのかを適切に見極めて、学習スケジュールを立てるというのは、それなりに難易度が高いことです。

中高生でしっかりできるかと言えば、疑問符がつく場合も多いでしょう。特に、苦手分野を見極めて対策する、などになると大人でも困難です。

かと言って、親の干渉しすぎも問題ですし、そもそも日常が忙しすぎてそこまでサポートできないという保護者もいらっしゃるはずです。

また、やりなさいと言ったところで、「そんな面倒なことをやっていられるか」と反発するケースもあるでしょう。思春期真っ只中で、親の干渉に強いストレスを感じる年代ですから、当然とも言えます。

少なくとも、なぜこのようなことをしなければならないのか、という説明は、根気強く行って、しっかり理解できるようにアプローチする必要があります。

子どもへの伝え方

将来のキャリアイメージの具体化 ※総合型選抜「将来のキャリアイメージ」10代前半で具体化するために欠かせない5つの手順を参照

そのような人生を送るために、どのような知識・スキルが必要なのか?

ベストな進学先候補のリサーチ

進学先候補の大学等に合格するために必要な評定平均や学力水準のリサーチ

現在の評定平均や学力水準とのギャップから、学業面で今なにをすべきか

成績を上げるために絶対に必要なことを、記憶のメカニズムから解説

学習計画に落とし込んで実行

個別指導塾や家庭教師をうまく活用する

どんなにうまくアプローチしたところで、家庭のサポートだけでは、限界を感じるケースは少なくありません。

  • 仕事が忙しく時間が取れない
  • 学習計画を立てようにも見当がつかない
  • 子どもが家庭でコツコツ勉強するのがどうしても苦手
  • 子どもから勉強のわからないところを聞かれても、回答できない
  • 思春期の反抗が強く、うまくコミュニケーションが取れない

中高生の子どもがいる家庭であれば、少なからずこのような悩みがあるのではないかと思います。

個別指導塾や家庭教師は、このような悩み・課題を解決するにはうってつけです。

自力で学習を進められる子の場合は良いのですが、そうではない場合は、お金はかかってしまうものの、それに見合った価値があります。

前項で紹介した「なぜこのようなことをやらなければならないか」が腹落ちしている子であれば、“わかっていてもできない” 状態を解決するために、有効な手段であるとわかり、検討してくれるはずです。

塾選びの際は、定期テストの目標に向けて、適切な演習の計画を立ててくれる塾かどうかを確認してください。

勉強時間を増やすことに意味があるのではなく、最小限の負担で効率よく成績を上げることが重要です。

探究入試等を目標とするのであれば、実績づくり等のための時間はいくらあっても足りませんので、最小限の時間で成果を上げられる塾を選びましょう。

注意点

なお、集団指導塾は、独自カリキュラムに沿って指導していくため、個々の状況に合わせた指導は行っていません。

たとえば探究入試が目標なので、なるべく勉強の負担を最小限にしたい、と言ったところで、それに合わせて学習の負担を減らしてくれるなどの対応はしてくれない塾が一般的です。

1対1〜数名での指導になるため割高ではありますが、個々の状況に合わせて学習計画を立て、指導を行ってくれるのは、やはり個別指導塾等になります。

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よりかね隊長

寄金 佳一。一般社団法人リアルエクスペリエンス代表理事。「フリーダム・アイランド」の隊長。予定は白紙で、すべてを自分たちで決めて活動する「パラダイスデー」「石垣島7日間生活」や、世界自然遺産での野生の生き物探しなど、大人気プログラムを企画・運営。2011年以降はフリーランスのWebメディア運営スペシャリストの一面も持ち、国内最大級(当時)のディズニーWebメディアを生み出した実績がある。

『fly away』は、興味を持つ力を武器に進学・キャリア形成をイメージする10代前半のためのスクール「フリーダム・アイランド」のオウンドメディアです。

運営:一般社団法人リアルエクスペリエンス